お金を借りるときに、保証人が必要だった時代がありました。いまでも住宅ローンのように保証人が必要な金融商品もあります。ところが最近では保証人不要のキャッシングのような金融商品も増えてきました。
- なぜ保証人なしでお金を借りられるの?
- 必要なケースと不要なケースは何が違う?
- そもそも保証人はなぜ必要なの?
ここではそんな疑問を解消するために、お金を借りるための仕組みについて詳しく説明します。疑問を持ったままお金を借りると、いろいろと不安になると思います。最後まで読んで、スッキリさせた上でキャッシングを利用しましょう。
キャッシングに保証人が不要な理由
キャッシングのサービスを提供している金融業者はたくさんありますが、そのほぼ全てが保証人不要です。理由はいろいろとあるのですが、最大の理由は「不要にすれば利用者が増えるから」ということです。
例えば、生活費が不足してお金を借りるというのは、できるだけ周りの人に知られたくないですよね。それなのにお金を借りるのに、誰かに保証人をお願いしなくてはいけないとなると二の足を踏んでしまう人がほとんどではないでしょうか。
特にキャッシングのような少額な借入の場合は、借りることを誰にも知られたくないという心理が働きます。「それくらいのお金も用意できないくらい困っている」ということを知られるわけですから、決して気持ちのいいものではないですよね。
金融業者はメガバンクのような大きなものから、街金のような小さなものまで様々ありますが、お金を貸して、その利息で経営をしています。そのため、お金の借り手がいなければ商売が成立しません。そのためには誰でも手軽に申し込みができる環境が必要です。
申し込みをしやすい環境を整えるため方策のひとつが、「保証人なし」というスタイルです。もちろん金融業者は、貸し倒れが発生したときのためのリスク管理もしっかり行っています。どのようなリスク管理を行っているかについて詳しく見ていきましょう。
保証人と連帯保証人の違い
お金を借りるための仕組みを説明する前に、多くの人がきちんと把握していない、保証人と連帯保証人の違いについて紹介しておきます。いずれのお金を借りた人が返せなくなったときに、返済の義務を負うのは同じですが、細かい部分で違いがあります。
- 催告の抗弁権
- 検索の抗弁権
- 分別の利益
この3つが両者の違いとされています。この言葉だけでは、その違いがまったくわからないでしょうから、それぞれについて簡単に説明します。
催告の抗弁権
債権者(お金を貸した人)に対して、「まずは債務者(お金を借りた本人)に請求してください」と求めることができる権利です。
この権利により、本人が優先して返済を行う義務が発生します。ところが連帯保証人の場合はこの催告の抗弁権がありません。債権者は直接、連帯保証人に返済の請求をすることができてしまうのです。
検索の抗弁権
催告の抗弁権に似ていますが、本人に十分な財産がある場合は、そちらから請求するように債権者に求めることのできる権利です。債務者に十分な資産があれば、保証人は返済する義務が発生しません。
ところが連帯保証人は、本人に十分な資産があっても、債権者から直接返済の請求をされることがあります。
分別の利益
100万円の借金に対して5人の保証人がいたとすると、分別の利益により1人あたり20万円までしか請求されません。ところが連帯保証人の場合は、20万円が上限ではなく、100万円が上限となります。
保証人を求められるケース
キャッシングではほとんどでのケースで保証人が不要となっています。それでも例外として要求されるようなケースがあるのではないかと、不安に思っている人もいるかもしれません。原則として保証人を求められるケースはありません。
なぜなら、キャッシングでは保証会社という会社を利用して、貸倒れが発生したときのリスク管理をしています。お金を借りた人が、なんらかの理由で返済できなくなったとき、保証会社が本人に代わって返済を行います。
100万円お金を貸していたとして、その返済が滞ったら保証会社が100万円の穴埋めをします。そして保証会社に債権が移り、保証会社がお金を借りた人に対して、借金の督促を行います。場合によっては裁判にまで発展することもあります。
また、保証会社が代わりに返済をすることを代位弁済といい、代位弁済されるとお金を借りた人の個人信用情報に、金融事故の履歴が残ります。いわゆるブラックリストに載った状態で、履歴が消えるまでの期間が借入することができません。
このような仕組みがあるため、キャッシングでは保証人を求められることはありません。ただし、街金のような小さな金融業者の場合はその限りではありません。小さな金融業者は完済が難しいような人にも連帯保証人をつけて融資をすることがあります。
小さな金融業者は保証会社の利用するほどの収益がありませんので、自社でリスク管理をする必要があります。このため街金などでは融資の条件として、保証人を求められることもあるのだと覚えておきましょう。
キャッシングで保証人不要にする方法
キャッシングでは原則として保証人は不要です。そのためお金を借りるためにするべきことはなにもありません。銀行や大手の消費者金融などから申し込みをするだけで、保証会社を利用して融資を受けることができます。
ただし、保証会社を利用するには、きちんとお金を返済できるかどうかの審査を受けなくてはいけません。保証会社は無条件で保証をしているのではなく、貸倒れが起きないように審査によってそのリスクをできるだけ排除しています。
審査に通るための条件は2つあります。
- 安定した収入があること
- 収入に対して安全な範囲での借り入れであること
これらの2つの条件に対する基準は保証会社によって違います。安定した収入というものに対して、具体的な数字をそれぞれの保証会社は持っているのですが、保証会社のノウハウですので、公開されることはありません。はっきりしているのは、無職の人は融資を断られるということだけです。
また、借入希望額が年収の1/3を超える場合は、審査落ちする可能性がとても高くなります。総量規制というルールにより、貸金業者は年収の1/3までしか融資することができず、銀行は総量規制の対象外ですが、それでも自主規制として融資の上限を年収の1/3くらいに設定しています。
これらの審査に通過することができれば、保証人不要でお金を借りることができます。
なぜ保証人無しで借りられるの?
ここでまでの流れで、キャッシングでは保証人不要で利用するための仕組みを理解できたかと思いますが、ここで一度それらをまとめておきます。
- 保証会社が保証をする
- 審査をすることで返済が難しい人を排除する
この2つのポイントが、保証人不要で金融業者がお金を融資できる理由です。すでに紹介しましたように、保証会社が借金の穴埋めをすることで、金融業者は貸倒れによる損失を避けることができます。そのうえ気軽にキャッシングを利用できるため、幅広く利用者を募ることができます。
また、貸したお金を返済できそうにない人を、審査によって排除しておけば、そもそも回収できなくなるというリスクは大幅に減らせます。大手消費者金融などでは、審査を受けている人の半数が融資を断られています。銀行の場合は、それ以上に審査が厳しいと言われています。
もちろん、いくらきちんと審査しても、リストラのように想定外の事態が発生することもあります。金融業者はそれらのリスクも考えて、金利を設定します。過去の融資のノウハウから、何%の人が返済できなくなるかというデータもありますので、それを考慮して金利を設定すれば損失を最小限に抑えることが出来ます。
保証会社の存在と、審査のノウハウが溜まってきたことで、わざわざ保証人を用意しなくても、お金を融資できる仕組みが出来上がったというわけです。
保証人不要のキャッシングはいくら借りられる?
保証人が不要だと、借りられる金額が少ないのではと思うかもしれません。これも保証会社を利用することで、金融業者が損失を出すことはありませんので、保証人が不要だから借りられる金額が少ないというようなことはありません。
たとえば、みずほ銀行のキャッシングの場合は、最大限度額は1000万円に設定されています。その他の銀行についても下記のような上限になっています。
- みずほ銀行:1000万円
- 三菱東京UFJ銀行:500万円
- 三井住友銀行:800万円
- オリックス銀行:800万円
- 楽天銀行:800万円
銀行の多くが500万円を超える金額が最大限度額に設定されています。消費者金融の場合は下記のようになります。
消費者金融の場合は銀行よりもやや低めに設定されていますが、それでも500万円までキャッシングすることができます。
ただし、誰でも各金融業者の最大限度額まで借りられるというわけではありません。すでに紹介しましたように、お金を借りるときには総量規制というルールがあり、年収の1/3までしか融資を受けることができません。
例えば年収が300万円なら、借りることができるのは100万円までです。これは1社あたりではなく、総量規制の対象となる金融機関から借りている金額の合計の値です。プロミスから80万円すでに借りているなら、アイフルやアコムからは20万円までしか借りられません。
銀行は総量規制の対象外ですが、年収の1/3というのは、返済が難しくなる金額ですので、銀行の場合も同じように年収の1/3を超える融資を受けるのはとても難しいと覚えておきましょう。
保証人不要のキャッシングなら家族にバレない?
保証人なしでお金を借りたいという人の多くが、お金を借りることを家族や知人に知られたくないという思いを持っていますよね。繰り返しになりますが、キャッシングでは保証人は不要ですので、申し込みの段階でお金を借りることが家族にバレることはありません。
ただし、家族と一緒に暮らしている場合は、利用明細などの郵便物が家に届いたり、本人確認の電話が家にかかってきたりして家族にバレてしまうということがよくあります。
- 本人確認の電話のための連絡先を携帯電話にする
- WEB完結のキャッシングを選ぶ
家族にバレないようにするポイントはこの2つです。
申し込み時に記載する電話番号に自宅の電話番号を記載すると、本人確認の電話が自宅にかかってきます。連絡先の電話番号を携帯電話にすることで、自宅のほかの人が電話を受けることを回避できますので、必ず携帯電話番号を伝えておきましょう。
また、WEB完結のように、利用明細が自宅に送られてこない商品を選んで利用しましょう。利用明細を郵送ではなく、インターネット上でチェックできるように設定しておけば、家族にバレてしまうことを避けることができます。
そして、もっとも重要なことは滞納しないということです。WEB完結にしていても返済が滞ると督促状などが自宅に届くことがあります。返済期日は必ず守るようにしましょう。
返せなくなったらどうなる?
借りたお金を返せなくなったとき、保証人がいればそちらに請求が行きますが、保証人不要の場合はどうなのでしょう?返済できなくなったときの流れについて説明します。
- 滞納発生
- 保証会社が金融業者に代位弁済
- 債権が金融業者から保証会社に移る
- 保証会社から債務者に一括返済の請求
- 返済できない場合は裁判となり差し押さえが発生
滞納が発生してすぐに、保証会社が代位弁済するわけではありませんが、2~3ヶ月は返済の催促が続き、それでも返済されない場合に代位弁済が発生します。この時点で金融事故として、ブラックリスト入りします。
保証会社は代位弁済をすると、債務者に対してすぐに一括返済の請求を行います。ほとんどのケースで一括返済には応じられないため、保証会社は裁判所に申し立てを行って、給料や資産などを差し押さえられます。
安定した収入がある場合は、毎月の給料のうち法定控除額(税金や保険)を引いた額の1/4を強制的に返済に充てられます。例えば法定控除額を差し引いた額が20万円の場合は、毎月5万円ずつ完済するまで強制的に差し押さえられます。
リストラなどで安定した収入がなく、売却できる資産もない場合は、自己破産や任意整理などの債務整理を行います。
まとめ
保証人について、ここまで紹介してきたことをまとめてみましょう。
- キャッシングは保証人不要
- 保証は保証会社が行う
- 返済できなくなると保証会社から一括請求される
金融業者は融資をするときに、貸倒れリスクに対して保証会社を利用することで、損失が出ないようにしています。その保証会社は、お金を借りた人の資産や給料の差し押さえなどをして、損失が出ないようにします。
また、貸したお金をきちんと返してくれる人であるかどうか、審査をすることで貸倒れが発生しないようにしています。金融業者と保証会社は、膨大な量の取引データを持っていますので、どのような人が返済できなくなるかを知っています。
安定した収入がある人に対してのみ融資を行い、なおかつ年収の1/3までの融資に抑えることで、貸したお金を回収できない事態を回避しています。返せなくなったら保証人に返してもらうのではなく、返せなくなりそうな人には貸さないというのが、キャッシングの基本となる考え方です。
そして保証人がいないということは、すべて自分の責任で返済しなくてはいけないということも忘れないようにしましょう。お金を借りやすいというメリットはあるものの、自己責任で返済しなくてはいけない商品であることはきちんと頭に入れた上で、利用してください。