お金を借りる時はクレジットカードのキャッシングとカードローンの2種類がありますが、それぞれを混同している人が多いかもしれません。
- どこが違うの?
- それぞれのメリットはどこにある?
- 借りやすいのはどっち?
- 低金利で借りられるのはどっち?
ここではそんな疑問を解決するために、キャッシングとカードローンの違いについて詳しく解説します。自分に最適な商品を知りたい人は、その違いをきちんと把握することから始めましょう。
カードローンとは
それではまず、カードローンがどのような商品なのかについて説明します。「専用カードを使ってお金を借りる」これがカードローンです。最近はインターネットを利用してカードレスで融資を受けることもできますが、そもそもはATMやCDなどを利用してお金を借りるサービスです。
利用するには審査があり、その審査に通過すると専用のカード(ローンカード)が送られてきます。ローンカードは無人契約機などでも受け取ることができ、銀行のキャッシュカードをローンカードとして使える商品もあります。
借り入れできる金額がとても大きく、商品によっては上限を1000万円に設定しています。もちろん誰でも高額な融資を受けられるわけではありませんが、一般的にはキャッシングよりも大きなお金を借りることができます。
この商品を提供しているのは銀行と消費者金融です。この2つの金融業者も似ているようですが、大きな違いがあります。銀行は銀行法、消費者金融は貸金業法というベースとなっている法律が違います。貸金業法には総量規制というルールがあり、年収の1/3までしか融資をすることができません。
このため、消費者金融からは高額な借り入れができません。銀行は貸し付けの上限がありませんので好きなだけ融資できます。もっとも、実際には貸し倒れリスクを避けるために、消費者金融と同様に年収の1/3~1/2くらいまでしか融資を行っていません。
キャッシングとは
クレジットカードのキャッシングは、カードに付帯しているサービスのひとつでキャッシングサービスとも呼ばれています。短期間で借りる小口融資のことをいい、原則として翌月の返済日に一括で返済を行います。このため、借りることのできる金額はとても少額に設定されています。
多くても50万円くらいまでの融資が一般的で、1万円単位で手軽に利用できるという魅力があります。そもそもは、買い物をするときにすべてのお店がクレジットカード対応しているわけではないため、そういうときのために現金で借りられるようにしているのがキャッシングサービスです。
このため、利用するのは買い物の延長線上というのが基本的な考え方です。生活費の不足を補うというような使い方も可能ですが、あくまでも一時的な融資を前提としています。リボ払いでの返済も可能ですが、その場合は大きな手数料がかかるためあまり賢い利用方法ではありません。
カードローンと比較すると金利が高いという特徴もあります。短期間で返済すれば実際の利息はそれほど膨れ上がることはありませんので、あまり気にならないという人も多いかもしれません。それでも金利面では、かなり不利な条件での利用になることは覚えておきましょう。
利用するにはクレジットカードの申込時に利用枠を設定するか、すでに発行されているクレジットカードに利用枠を追加するかのいずれかになります。設定さえしておけば、ATMなどからいつでも手軽にお金を借りることができます。
キャッシングとカードローンの違い
それぞれの基本的な特徴について理解できたかと思いますので、次にそれぞれの違いについて比較していきましょう。
借入方法
キャッシングはクレジットカードの付帯サービスで、カードローンはお金を借りることに特化したサービスです。いずれも融資を受けるためには審査を受けなくてはいけません。この部分では共通しているのですが、違うのが利用可能額の決め方です。
カードローンは「いくら貸してください」と利用者が申告するのに対して、キャッシングは「◯◯万円まで借りることができます」とカード会社からその利用枠を指定されます。さらにクレジットカードを作ることが最優先事項で、お金を借りるというのはあくまでもオプションです。
キャッシングを利用するには、クレジットカードの審査に通らなくてはいけません。まずは入会審査があり、そこで利用枠の可否やいくらまで融資可能とするかの判断をされます。このため、クレジットカードの審査には通ったけど、利用枠は設定できなかったというようなことが起こります。
借りやすさ
審査があるとなると、気になるのはどちらが借りやすいかということですよね。最初に断っておきますが、ここでいう「借りやすさ」は、簡単に借りることができるということではありません。どちらのほうが審査に通りやすいのかについての比較でしかありませんので、気をつけてください。
一般的に、金利が高い商品や融資額が少ないほうが審査に通りやすいという傾向があります。このため、キャッシングの利用枠を設定するほうが比較的ハードルは低めです。そもそもこの利用枠は、頻繁に使うというよりも、クレジットカードが使えなかったときに利用するものです。お金を借りるためだけにあるカードローンよりは、少しだけ借りやすくなっています。
カードローンでも銀行と消費者金融で借りやすさが違います。これはそれぞれの金利差によるもので、低金利商品を展開している銀行の審査はとても厳しいとされています。安定した職業についている人や、大手企業などに勤めているなどの高いステータスが必要です。
これに対して消費者金融は金利を高めに設定していますので、銀行よりは借りやすいという特徴があります。ただし、その消費者金融でも審査通過率は50%前後です。かなり高いハードルだということは頭に入れておきましょう。
金利の違い
「キャッシングは金利が高い」というのは聞いたことがあるかと思いますが、どれくらい違いがあるのかについても見ていきましょう。人気の高い金融業者の金利を見てみましょう。
カードローン
みずほ銀行:年2.0~14.0%
アコム:年4.5~17.8%
キャッシング
JCB:年15.0~18.0%
最低金利の違いは融資可能額の違いですので、あまり気にする必要はありません。重要なのは最大金利です。例えば10万円借りたときには、それぞれの金利が14%、17.8%、18%となります。
ここでは、カードローンが低金利で有利に思えますが、返済方法によって実際に支払う利息の総額が変わってきます。次にそれぞれの返済方法の違いについて説明します。
返済方法
カードローンは残高スライドリボルビング方式を採用する金融業者が多く、毎月の返済残高に応じて翌月の返済額が変わります。上記のみずほ銀行で10万円を借りた場合は、月々1万円の返済を行います。このときの返済総額は108,274円です。
キャッシングは一括返済ですので、借入期間を30日とすると返済総額は101,479円です。金利は高めですが、一括返済をすることで借入期間が短くなり利息はそれほど多くなりません。ただし、一括返済ができずにリボ払いに変更すると返済総額が膨れ上がります。
カードローンでも繰り上げ返済を行えば、それほど多くの利息を払わずに低金利を活かした返済が可能です。返済総額は金利だけでなく借入期間も影響します。どちらが有利なのかを比較するときには、単純に金利だけを見るのではなく、完済までのシミュレーションを行って比べるようにしましょう。
カードローンのメリット
それぞれの比較を行ったことで、使い勝手なども見えてきたかと思います。それでもまだ、どちらを利用すべきか判断できないという人のために、両者のメリットについて紹介します。ここではまずカードローンのメリットを紹介します。
- 金利が低い
- 高額な融資を受けられる
- 無理のない返済ができる
- 即日融資も可能
大きなメリットとして挙げられるのが上記の4点です。金利についてはすでに紹介しましたように、銀行の商品であればかなりの低金利で借りることができます。しかも年収の1/3までの融資を受けられますので、大きな買い物などにも利用できます。
さらに、返済額が毎月一定ですので、高額な借り入れをしても無理のない返済が可能です。キャッシングの場合は、原則として一括返済ですので借入額が大きくなると、翌月の返済日にとても苦労します。ただし、返済総額が大きくなることもあるため、少額な借入の場合はデメリットに感じる人もいるかもしれません。
「いますぐお金が必要」というときに対応しているのもカードローンのメリットです。即日融資ができる金融業者も多く、申し込みを行った日にすぐに借りられるのは、キャッシングにはない大きな強みです。
キャッシングのメリット
次にキャッシングのメリットについても見ていきましょう。
- 利用枠を設定していればすぐに借りられる
- 一括返済すれば返済総額を抑えられる
- 海外で現地通貨を入手できる
すでにクレジットカードの利用枠を設定しておけば、銀行やコンビニATMですぐにお金を借りることができるという手軽さが最大のメリットです。お金が必要になってから申し込みをした場合にはとても時間がかかりますが、利用枠があれば最短でお金を借りられます。
また金利の高さから利用を避けられがちですが、一括返済できる範囲での利用であれば、カードローンよりも総返済額を下げることができます。不利なのは長期にわたっての返済です。数万円の利用であれば、キャッシングのほうが適していることもあります。ちょっとだけ借りてすぐに返済したい時におすすめです。
意外と知られていない利用方法ですが、海外で現地通貨を借りるのに利用することができます。日本の空港での両替は手数料がかなり高いのですが、海外でのキャッシングはほとんど手数料がかかりません。帰国してすぐに返済すれば利息も少なめです。海外でもATMで簡単に借りることができますので、海外に行く機会が多い人はぜひ利用してみましょう。
審査条件に違いある?
それぞれのメリットを把握したことで、上手な使い分け方法が見えてきたかと思います。ただし、そもそも審査に通過できなければ利用できませんよね。ここでは、それぞれの審査を通すための条件について紹介します。
カードローン
・安定した収入があること
・20歳以上であること
カードローンにもいくつかの審査条件がありますが、共通しているのはこの2点です。未成年との契約ができないため、利用できるのは20歳以上で安定した収入を得ている人だけに限られています。ポイントは「安定した収入」なのですが、どれくらいの収入があればいいのかは問われません。
借りたお金を返済できるだけの収入があればいいので、もし借り入れしたい金額が10万円程度であれば、年収が200万円くらいでも問題ありません。仕事はアルバイトでもパートでもかまいません。できるだけ同じ職場で継続して働いている方が審査に通過しやすい傾向があります。
キャッシング
・安定した収入があること
・20歳以上であること
・未成年の場合は親の同意があれば申し込み可
基本的にはキャッシングもカードローンと審査条件は同じです。唯一違うのは、未成年でも親の同意があれば利用枠を設定できることもあるということです。審査基準は銀行よりもハードルが低く、消費者金融とほぼ同じくらいだと考えてください。
勤務先や勤続年数、雇用形態などのステータスが高いほうが審査では有利で、他社からの借入額や借入件数が多いと、審査ではマイナスの評価を受けます。
信用情報への影響は?
「キャッシングを利用すると信用情報に傷がつく」という噂を耳にしたことのある人いませんか?それが本当なら安易にはお金を借りられませんよね。でも安心してください。キャッシングをしただけで信用情報に傷がつくなんてことはありません。もちろんカードローンも同様です。
ただし、いずれも滞納や債務整理、強制解約などがあると金融事故としてその履歴が残ります。この履歴がいわゆるブラックリストに載った状態です。履歴が残ってしまうと、時間が経過して履歴が消えるまでは、「事故を起こした人」として融資を断られます。クレジットカードを新規で作ることもできません。
信用情報は下記の個人信用情報機関で管理されます。
- JICC(株式会社 日本信用情報機構)
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- 全国銀行個人信用情報センター
消費者金融と信販会社はJICC、クレジットカード会社と信販会社はCIC、銀行は全国銀行個人信用情報センターに属しています。それぞれで個人の信用情報を管理していますが、金融事故の履歴などは共有化されています。
このため、銀行のカードローンで金融事故を起こしてしまった場合には、全国銀行個人信用情報センターに登録されますが、それは消費者金融やクレジットカード会社でも知ることができます。会社が違えば借りられるかもと思っている人もいるかもしれませんが、どの金融機関でも借りることができなくなりますので気をつけましょう。
まとめ
キャッシングとカードローンの違いについて紹介してきましたが、内容をまとめておきます。
- カードローンは低金利で高額融資に向いている
- 即日融資を受けたければカードローン
- 利用するにはいずれも安定した収入が必要
それぞれに特徴があり、ケースバイケースで最適となる利用方法が違います。いつまでにいくら借りたいのか、そしていつ返済できるのかなどを書き出してみましょう。そうすれば自分に最適な商品が自然と見えてきます。