「キャッシングでお金を借りる」と聞いて、どのような金融商品を思い浮かべるでしょう?クレジットカードを思い浮かべる人もいれば、消費者金融を思い浮かべる人もいます。このため、なかなか会話が噛み合わないというようなことがときどきあります。
- キャッシングの定義って何?
- どんな種類の金融商品があるの?
- それぞれにどんな特徴があるの?
- 便利な使い分け方はある?
ここではそんな疑問を解決するために、一般的なキャッシングの種類と使い分け方法について紹介します。
キャッシングは3種類ある
キャッシングという言葉だけが定着して、その意味まではきちんと理解している人は少ないかもしれません。「金融機関が行う個人に対する、CD(キャッシュディスペンサー)やATMによる小口の融資」が言葉としての定義です。この定義を満たしているものとして、代表的なものが下記の3種類です。
- クレジットカードキャッシング
- 消費者金融キャッシング
- 銀行カードローン
まず、ほとんどの人が思い浮かべるのが、クレジットカードのキャッシング枠ではないでしょうか。給料日前のちょっとお金が足りないときなどに、数万円借りるというような使い方をしている人が多いかもしれません。
もうひとつすぐに思い浮かぶのは消費者金融です。消費者金融から借りたことのない人は、あまりイメージしないかもしれませんが、消費者金融を利用して融資のためのカードなどを作った人は、クレジットカードと同じような感覚でお金を借りています。
3つ目は銀行カードローンです。カードローンはキャッシングとは違うだろうと思うかもしれませんが、CDやATMで借りることのできる小口の融資という意味では、こちらも定義の中に含まれる金融商品です。
それぞれにメリットやデメリットがありますので、利用方法や借りられる額なども含めて、その特徴について説明していきます。
1:クレジットカードキャッシングの特徴
まずは多くの人がイメージする、クレジットカードキャッシングについて説明します。クレジットカードにはショッピング枠だけでなくキャッシング枠というものがあります。このため買い物に使うだけでなく、ちょっとお金が不足しているときなどに、数万円だけ借りるということが可能です。
メリット
- 利用枠を作っておけば審査なしですぐに借りられる
- いつでも簡単にお金を借りられる
- 海外でもお金を借りられる
クレジットカードでお金を借りるメリットは手軽さにあります。ほとんどの人がクレジットカードを作るときに利用枠を作っているはずですので、コンビニや銀行のATMを利用すれば、日本全国どこでもお金に困ることはありません。
それどころかクレジットカードによっては、海外でも利用することができます。日本だけでなく、世界のどこにいてもATMさえあれば、現地の通貨を調達できるのはクレジットカードの大きなメリットです。
デメリット
- 金利がとても高い
- 返済は一括払いかリボ払い
- 高額な融資は受けられない
クレジットカードで最大のデメリットは金利が高いということです。もちろん法律の範囲内での金利で設定されていますが、ほとんどのクレジットカードで金利は18%に設定されています。これは10万円以上100万円未満の融資をするときの上限金利と同じです。
返済方法は一括払いかリボ払いで、一括払いなら10万円借りたとすると締め日の翌月には10万円と利息を返済しなくてはいけません。その返済が難しい場合はリボ払いになりますが、この場合は、長期間高額な利息を払い続けます。
後ほど詳しく説明しますが、融資可能額が低めに設定されています。個別に設定されている上限は30~50万円くらいがほとんどで、高額な借り入れには向いていません。
利用方法
クレジットカードにキャッシング枠がない場合は、まずは利用枠を作ってもらわなくてはいけません。自分のクレジットカードに利用枠があるかどうかは、利用明細をチェックしてみましょう。インターネットのマイページなどでも確認できます。
利用枠を作る方法については、クレジットカードの会社によって違いますので、各クレジットカードのホームページなどで問い合わせしてください。
利用枠ができれば、あとはCDや銀行やコンビニのATMで簡単に融資を受けることができます。クレジットカードを挿入して、画面の指示に従って融資希望額を指定してください。またインターネットのマイページから銀行口座への振込での融資をすることも可能です。
借りられる額
クレジットカードとしての限度額は1万~100万円くらいに設定されていることが多いのですが、実際には利用者の信用に合わせて上限が設定されています。カードを作ったばかりでは10~20万円くらいに設定され、クレジットカードの利用頻度に応じて自動的に上限が変わります。
また、自分で「融資額の上限を上げて欲しい」と依頼することも可能です。その場合は信販会社の審査を受け、問題がなければ融資額の上限が上がります。
2:消費者金融キャッシングの特徴
消費者金融でのキャッシングはカードローンと呼ばれることもあり、混同しそうですが基本的には同じことだと考えてください。融資のための審査を受けて、審査に通ればカードが発行され、そのカードを使ってお金を借ります。ただし、カードを発行せずに銀行口座への振込などで融資を受ける方法も用意されていることもあります。
メリット
- 即日で融資を受けられることもある
- 無利息期間などのキャンペーンがある
- 銀行よりも審査に通りやすい
消費者金融でキャッシングをするメリットは、即日融資を受けることができる点です。利用額にもよりますが、月収と同程度の融資であれば申し込みをした日に融資を受けられます。一度融資を受けると、利用限度額の範囲内でクレジットカードと同じように利用することもできます。
また、利用者を増やすために「初回の2ヶ月間は無利息」というようなキャンペーンも頻繁に行われており、利用者拡大に力を入れているため、比較的初心者向けの金融商品と言えます。
デメリット
- 審査で落とされる可能性がある
- 銀行のカードローンよりも金利は高め
- 借入額に上限がある
銀行よりも審査は通りやすいものの、実際の申込者のうち約半数が審査落ちしています。誰でも簡単に借りられるわけではないということは、しっかりと頭に入れておきましょう。審査に通りやすいのは事実ですが、そのため金利が高めに設定されていることもデメリットのひとつです。
金利はクレジットカードよりは有利ですが、銀行のカードローンよりも高めで、なおかつ総量規制により、年収の1/3を超える借り入れができません。
利用方法
初回の利用には審査を受けなくてはいけません。このため、最初にインターネットや無人契約機などを利用して申込みを行います。その後消費者金融の審査が行われ、問題なければ融資が開始されます。
融資方法はインターネットのマイページなどを利用した口座への振込、もしくはキャッシング専用カードを利用して全国のCDやATMなどからお金を借ります。
借りられる額
消費者金融では借入限度額を500~800万円に設定しています。もちろんこの額まで借りられるというわけではなく、商品としての上限をそれくらいに設定しているということです。
消費者金融でお金を借りるときには、総量規制というルールにより、年収の1/3までしかお金を借りることができません。1社あたりではなく、すべての消費者金融とクレジットカードのキャッシングで借りているお金を含んで1/3までです。
年収が300万円の人は100万円までしか借りられません。すでに30万円の借り入れがある場合は、70万円が融資の上限です。
3:銀行カードローンの特徴
銀行のカードローンも、小口融資に限ればキャッシングの定義に含まれます。消費者金融と同じように、審査を受けて融資の用のカードを発行してもらうか、キャッシュカードにカードローン機能を持たせることで、利用限度額の範囲内でいつでもお金を借りることができます。
メリット
- 低金利でお金を借りられる
- 大きな金額の融資が可能
- 大手からお金を借りている安心感がある
銀行のカードローンでお金を借りる魅力は、低金利ということです。消費者金融やクレジットカードに比べて、とても低い金利で融資を受けられるため、数十万円借りるようなときは利息の支払いに大きな差が出ます。
そして銀行は総量規制の対象外ですので、年収の1/3を超えるお金も借りることができます。ただし、自主規制により年収の1/3を超える融資は簡単ではないことも覚えておきましょう。誰もが知っている大手金融機関で借りるのは、精神的な安心感が得られて安心できるというメリットもあります。
デメリット
- 融資のための審査がとても厳しい
- 融資までに時間がかかりやすい
- 銀行口座を作らなくてはいけないことが多い
デメリットとしては、消費者金融よりも審査が厳しいということです。低金利な商品ほど審査が厳しくなりますので、低金利で借りることのできる銀行は、審査を通過させるのが大きな関門です。しかも細かく審査をするため、融資開始までに時間がかかりやすいというデメリットもあります。
また、銀行によっては普通預金口座を作らないと申し込みができないケースもあり、使い勝手があまりよくないという面もあります。
利用方法
利用するためには消費者金融と同じように申込みを行います。消費者金融と違うのは無人契約機がないということくらいです。そのため、インターネットや電話、FAX、窓口からの申し込みを行います。銀行によってはATMから直接申し込みをすることも可能です。
使い方はキャッシュカードと同じで、ATMの画面で預金をおろすキャッシュカードとしての使用か、キャッシングでの利用なのかを選んでから操作を行います。
借りられる額
カードローンの上限は800万~1000万円と高額な設定がされていますが、これはあくまでも設定されているだけで、実際に誰でもこのような金額を借りられるわけではありません。実際に利用できる目安は、消費者金融と同じように年収の1/3がひとつの目安です。
消費者金融のキャッシングが向いている人
ここまで3種類のキャッシングについて説明してきました。この中で使い勝手のいい商品としておすすめしたいのが、消費者金融のキャッシングですが、どのような人に向いているのかについて、詳しく説明します。
- すぐにでもお金を借りたい人
- 借入希望額がやや高めの人
- 銀行のカードローンで審査落ちした人
消費者金融の大きなメリットは融資開始までのスピードですが、クレジットカードのキャッシング枠をすでに持っているなら、そちらのほうがスピードは早いのですが、借り入れできる額の少なさや、金利の高さを考えるとクレジットカードはあまりおすすめできません。
消費者金融でも一度カードを作っておけば、その後はすぐに融資を受けることができますので、過去に利用経験がある場合は、クレジットカードでお金を借りるメリットはほとんどありません。
それは銀行のカードローンも同じことですが、銀行は審査が厳しくてそもそもローンカードを持てないという人がいます。このため、銀行で審査落ちした人にも消費者金融キャッシングはおすすめです。
ただし、銀行よりは金利が高めですので、計画的に利用するように気をつけましょう。
用途に合わせて使い分ける
3つの商品の個性を理解できたかと思います。それでは実際にお金に困ったときの使い分け方法について説明します。
すぐにお金を借りたいならクレジットカード
すぐに融資を受けたいときは、クレジットカードでの融資がおすすめです。ただし、借入限度額が低く金利も高めですので、数万円での融資に向いています。借入希望額が数十万円になってくると、消費者金融での即日融資がおすすめです。
高額な借り入れは銀行のカードローン
借入希望額が100万円以上というような、高額な融資を希望する場合は、低金利でお金を借りることができる銀行のカードローンがおすすめです。総量規制の対象外ですので、年収の1/3という基準もひとつの目安でしかなく、それ以上の融資も受けられることがあります。
ただし審査がとても厳しいため、借りたくても借りられないということがあります。安定した収入のある人でなければ高額融資は難しいと考えてください。銀行で融資を受けられなかった場合は、消費者金融の審査を受けましょう。
オールラウンダーの消費者金融
クレジットカードと銀行のカードローンの間に位置するのが、消費者金融のキャッシングです。このため、飛び抜けた印象はありませんが、金利が高すぎず融資までのスピードも早いため、実はとても使い勝手のいい金融商品です。
金利の良さでは銀行にかないませんし、融資までのスピードではクレジットカードにはかないません。それでも申込みから融資までの流れも含めて、もっとも使い勝手良く利用できるのが消費者金融のキャッシングです。
まとめ
キャッシングは金融機関が個人に対して、CDやATMを使って行う小口融資です。定義としては大きな括りで、融資する金融機関の違いによって下記の3種類に分類されます。
- クレジットカードキャッシング
- 消費者金融キャッシング
- 銀行カードローン
クレジットカードは申し込む時に、ショッピング枠とは別に融資のための枠を設定することが多く、気付かないうちにお金を借りられるようになっている人という人がたくさんいます。すでにお金を借りられる状態ですので、融資までのスピードが早い反面、金利が高く借りられる金額が少ないのも特徴です。
消費者金融や銀行でキャッシングをするには、まずは審査を受けなくてはいけません。一度利用すると利用限度額の範囲内で、クレジットカードと同じようにお金を借りられます。一般的には消費者金融よりも銀行のほうが低金利ですが、審査に通りにくいとされています。
また、銀行のカードローンは審査に時間がかかるため、融資までに時間がかかることもあります。できるだけ早めにお金を借りたいという人は、消費者金融のキャッシングが向いています。時間にも余裕があり、できるだけ低金利で借りたいという人は銀行のカードローンがおすすめです。
ただし、銀行のカードローンはとても審査が厳しいため、ステータスの低い人は審査落ちする可能性があります。銀行のカードローンで融資を断られたら、消費者金融に切り替えて審査を受けてみましょう。